所信表明
太子町議会令和6年6月定例会において、田中町長が行った「所信表明」について、お知らせします。
はじめに
私の初めての任期は、ほぼコロナ禍における町政運営といっても過言ではありませんでした。特に新型コロナワクチン接種につきましては、富田林医師会及び富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村の4市町村が連携を密にし、集団接種を令和3年5月のPL練成会館を皮切りに、その後町では万葉ホールに場所を移しながら希望するすべての住民のみなさまに可能な限り早期に接種を受けて頂けるよう取り組みを着実に進めてまいりました。
そのような状況下においても、私に与えられた責任を果たすべく、住民のみなさまが生涯をつうじて主体的に学び続けることのできる町立生涯学習センター「太子の森」の建設事業については、就任当初より執行機関のトップとして事業内容を詳細に検証した結果、建設に必要となる財源を確実に確保できたとともに、開館時期についても、当初予定より早い、夏休み前にオープンすることができました。
そして、『活気あふれる子育てしやすい町』に向けた取り組みとして、こども医療費助成の対象を18歳になる年度末まで拡大したほか、町立学校園の給食費の完全無償化や町立幼小中一貫教育の取り組みの開始、35人学級などの少人数学級を実現するとともに、『住民とともに歩む住民本位の町政を推進』するため、町公式LINE(ライン)の開設などSNSを活用した町政の情報発信やタウンミーティングを行いました。
さらに、『健康で生き生きと暮らせる、安心安全な町』をめざし、夏季集団健診に加え、冬季にも集団健診を行い、住民のみなさまの日頃の健康維持に欠かせない健診の受診機会を増加させる取り組みや、住民のみなさまの移動支援に係る公用車貸出事業を行うなど、高齢者が活躍できる場の創出に関する施策に加え、FC大阪やダイドードリンコをはじめ多くの企業との公民連携による事業を行いました。
また、『自然と歴史を活かしたにぎわいのある町』をめざし、「スタートアップ企業」とともに、まち全体を実証フィールドとして、更なる取り組みを推し進めるため、令和3年7月に公民連携ガイドラインを制定し、公民連携デスクを設置しました。その結果、現在までに12社と包括連携協定、11社と事業連携協定を締結し、太子TVの配信や太子町産みかんを活用した商品開発を行うなど、SDGsとリンクした「まちづくり」に関する施策を行いました。さらに、道の駅「近つ飛鳥の里・太子」についても新たな事業者を公募することで施設の活性化に繋げることができ、売り上げについても着実に増加しているところです。
その他、『行財政改革を断行し、持続可能な町』ではフジ医療器のマッサージチェアをふるさと納税の返礼品に加えることで寄附額の大幅増加を達成したほか、企業誘致施策にも取り組むことで自主財源の確保に努めました。さらに、住民票などのコンビニ交付をはじめオンライン申請を開始し、事務の効率化と住民サービスの向上に努めるとともに、より効率的で機能的な執行体制を確立するために危機管理体制の見直しを含む機構改革を行いました。
また、将来にわたって持続的かつ安定的に住民サービスを提供するための取り組みとして、令和2年度に大阪府と10町村による「町村の将来のあり方に関する勉強会」を設置し、令和5年度からは太子町、河南町及び千早赤阪村による「南河内地域2町1村未来協議会」において、「地域の未来予測」の結果を踏まえ、人口減少にともなう様々な行政課題に対し、行財政改革や公民連携、更なる広域連携に取り組むと同時に、選択肢の一つとして合併についても検討を深めるとともに、近隣の富田林市長、河内長野市長、大阪狭山市長にもオブザーバーとして加わって頂き、より広域的な視野での課題解決に向け、議論・検討を重ねています。
今後4年間に取り組む主な施策・方針
今後さらに取り組みを進め達成するべきことはたくさんあると考えております。これからの4年間で、太子町をより良くするために新たな施策を展開し、全身全霊で太子町を前に進めてまいります。
そして、多くの自治体において共通した課題でもあります、過去に経験のない少子高齢化の進展と、人口減少時代をどう生き抜くのかを常に意識しながら施策を進めることが求められると考えます。人口1万2千700人余りの小さな町を逆にスケールメリットとして捉え、住民の方一人ひとりを大切にし、声をお聴きしながらこの太子町をともに作り上げていきたいと考えております。
そして、令和5年12月に金剛自動車株式会社がバス事業を廃止し、それに代わる新たな公共交通の運行が開始されましたが、運転手不足や路線の維持に多額の一般財源が投入される中で、持続可能な公共交通事業を構築することが、喫緊の課題だと捉えています。住民のみなさまにとっての欠かすことのできない移動手段として運行している新たな公共交通について、どのようなあり方が地域に相応しい形であるのか、今後さらに検討してまいります。
また、人口減少にともなう行政職員の減少、児童・生徒数の減少、貴重な自主財源である個人住民税をはじめとした町税について、将来的に減収が予測されるなど、住民サービスを維持していくうえで厳しい状況が見込まれる中で、将来に向けた基礎自治機能の充実・強化のためには、行財政基盤の強化を図るための議論が必要であると認識することが重要です。
南河内郡の2町1村がその共通認識のもと、広域連携や事務の共同化など様々な方策の研究や検討を進めてきたところですが、太子町を含む南河内地域の将来のあり方に関しては、住民のみなさまからお預かりしている税金を、地域全体で効率的・効果的に執行するには、どのような自治体の形がふさわしいのか、地域全体が将来世代にわたって成長・発展していくには、どのようなまちづくりをめざしていけばよいのかという議論を行い、これからの時代にふさわしい自治体の形にアップデートしていくことが私の責務であります。将来世代に対する責任を果たすためには、課題を先送りすることなく、合併も選択肢の一つとして、議論を深めていかなければならないと考えています。
活気あふれる子育てしやすい町
これは子どもたちとその家族を支援し、より良い未来を築くためのものです。
保育料の無償化については、1期目では、3歳未満の第2子目は半額助成としておりましたが、2期目では、更なる子育て支援策の充実に向けて、すべての子どもたちの保育料完全無償化をめざすとともに、在宅子育て家庭への支援や、一時預かり等に加え、保育園に対するおむつ処理費用補助金の創設に取り組んでまいります。
そして、子どもたちが健康で、バランスの良い食事を摂ることは、健やかな成長にとって非常に重要であることも踏まえ、学校給食費の無償化を継続するとともに、保護者の子育てに必要な教育費の負担を軽減し、子育てを支援するための施策をより推進してまいります。
また、子どもたちがより快適で衛生的な環境で学校生活を送ることができるよう、現在進めている小中学校のトイレ改修(洋式化)の推進を引き続き行うことはもとより、幼小中一貫教育については、非認知能力の伸長を柱として「めざす子ども像」を明確にし、子どもたちの「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」を育み、個々の可能性を最大限に伸ばすため、幼稚園から中学校までの学びと成長を連続的に結び付けた幼小中一貫教育をさらに進めてまいります。
児童福祉法の改正により、市町村の努力義務とされている(仮称)太子町こども家庭センターの設置については、母子保健と児童福祉の両機能について連携を深め、虐待への予防的な対応から子育てに困難を抱える方まで切れ目なく、漏れなく対応できるよう早期の設置をめざすことで、更なる相談支援の充実に取り組みます。
これらの施策は、太子町が子どもたちとその家族を全力で支援するという強い決意を示すものです。私は、誰もが安心して子育てができ、子どもたちが健やかに成長できる環境の整備をめざしてまいります。
そして、太子町独自で奨学金を利用している人を支援する制度の構築を検討してまいります。
健康で生き生きと暮らせる安心安全な町
日本だけでなく、世界規模で課題となっている地球温暖化についてですが、町では2021年にゼロカーボンシティ宣言を行い、脱炭素社会の実現に向けた今後の具体的な取り組みの方向性を示す計画として、ロードマップを公表しています。このロードマップのもと、2期目においても引き続き脱炭素に向けた取り組みを進めてまいります。
次に自然災害については、町においても地震、台風による暴風、大雨、土砂災害など様々な自然災害が想定されますが、近年では特に南海トラフ地震の発生が危惧されるところです。「令和6年能登半島地震」を教訓にその対応を進める必要があり、その一つとして災害発生時に避難所となる学校の体育館の空調機器の整備について検討を進め、災害発生時に、住民のみなさまの安全と健康を守るため避難所として適切な環境を提供してまいります。
また、現在、空き家の数が増えており、適切に管理されていない空き家は、地域の景観を損なうだけでなく、地震による倒壊や防犯上の問題も引き起こす恐れがあります。これらを解消すべく、町独自の新たな補助制度を創設し、所有者や不動産業者と協力しながら、空き家バンクへの登録を促進し、これら空き家の解消や有効活用ができる施策を構築してまいります。
安全・安心という点においては、高齢者などが詐欺に遭うことを防ぐため、防犯機能付き電話機の補助を創設し、防犯機能を備えた電話機の普及を支援することにより、消費者被害防止に力を入れてまいります。
さらに、住民のみなさまの利便性を向上するために、ソフト面では一人ひとりが行政サービスを手軽に利用できるよう、オンラインでの手続きの拡大や、サービス窓口の一元化など、効率のよい行政サービスに向けた取り組みを推進し、また、ハード面では大阪府の協力のもと、地域間を結ぶ道路整備の推進により、地域間の経済活動を活性化させるとともに、緊急時において、孤立集落などを発生させない南河内地域の道路ネットワーク網の整備の促進にも取り組んでまいります。
また、住民の健康に関しては、すべての住民のみなさまが健康な状態で長生きできるよう、更なる健康寿命の延伸をめざして、健康診査、がん検診などの一層の充実を図るとともに、健診結果の相談会や栄養相談など、さまざまな方面からの取り組みについて、さらに充実した施策を進めてまいります。
自然と歴史を活かしたにぎわいのある町
町には、町名の由来であります聖徳太子御廟をはじめとする歴史・文化遺産、また、二上山をはじめとする豊かな自然が存在し、町を横断する日本最古の官道竹内街道につきましては、既に日本遺産に認定されております。これら太子町が持つ地域資源について、将来に向けて保存していくことはもちろんですが、その利活用についても考えていかなければなりません。そのため、現在、町が進めております国指定史跡二子塚古墳の整備事業や、1期目在任中に町へご寄付頂いた叡福寺前の国登録有形文化財「山本家住宅」等の文化財の保存・利活用の促進を進め、観光事業にも絡めながら地域の魅力を一層高め、地域の歴史や文化を次世代に引き継いでまいります。
また、農業振興について、太子町にはみかんやぶどうなどのおいしいフルーツの産地としての魅力がある一方、遊休農地が増えつつあり、その有効活用が課題となっています。この遊休農地の活用には、地域の経済を活性化させることができる可能性を秘めています。そのため、貸したい人、借りたい人の仲介を積極的に進めることを目的に、農業者だけでなく地域住民が遊休農地を有効に活用することに対し新たな支援制度を創設します。具体的には、遊休農地を活用した新規事業の立ち上げや、既存の農業経営の拡大に対する補助制度を創設します。これにより、地域の雇用創出や経済の活性化にもつながると考えています。
また、金剛山から二上山の麓を走る広域農道が「南河内フルーツロード」に改称され、南河内地域におけるフルーツや農産物のPRを行っていますが、2期目ではさらにこの「南河内フルーツロード」を活かし、沿道市町村とも連携を強め、フルーツを使った新商品の開発や、フルーツを活用した観光事業を推進するなど、さまざまなPR施策を打ち出すことで、新たなビジネスチャンスを創出し、町の農業や産業の振興をより一層推進してまいります。
それに加え、町の観光行政の中心的な存在である、道の駅「近つ飛鳥の里・太子」の機能強化も重要な課題です。太子町の道の駅は、地元の農産物や特産品が販売されており、町の魅力を発信する施設でありますが、設置から約30年が経過し、設備の老朽化も否めません。その機能を強化することで、町の魅力をさらに高めることができます。具体的な施策についてはこれからとなりますが、道の駅が町の情報発信基地としての役割を果たすことができれば、南河内フルーツロードを活かした農業・産業振興の施策とも相まって、高い魅力発信のツールとなると考えております。
さらに、企業誘致の促進についても、積極的な施策が必要と考えております。企業が新たに進出しやすい環境を整備することで企業を誘致することができれば、地域の雇用創出や経済活性化にもつながります。令和5年度には「産業の振興を図る必要がある地域における工場等の立地を目的とする開発行為等の取り扱い」である提案基準26-2を整備し、現在、工場建設に向け協議が進んでいる案件もあります。今後、都市計画マスタープランとの整合性を取りながら、より一層の環境整備促進に取り組み、企業誘致を進めてまいります。
町のPRとして欠かせないものが、大阪・関西万博への参画による魅力発信の強化となります。大阪・関西万博は、世界中から人々が集まる国際的なイベントです。今後、大阪ウィークというイベントにおけるブースでの地域の特産品PRや、地域の文化を発信するイベントも行われる予定です。それらに積極的に参画することは、太子町として地域の魅力を世界に発信する絶好のチャンスであり、ひいては町の交流人口や関係人口の増加にも寄与すると考えています。そのためにも、町として万博の機運醸成にも貢献したいと考えております。
住民とともに歩む住民本位の町
まず、すべての人の人権が尊重され、誰もが住みやすいまちをめざすため、すべての住民の人が平等にサービスを利用でき、多様なライフスタイルが尊重され、誰もが安心して生活できる環境を整備することが重要と考えており、マイナンバーの利活用・DXの推進を引き続き進めてまいります。とりわけDXの推進は、行政サービスの効率化と住民の利便性向上に不可欠です。具体的には、マイナンバーカードを活用した各種手続きのオンライン化を進めることで、住民のみなさまがいつでもどこでも手続きができるような環境整備を進めてまいります。また、データの一元管理をつうじて、より迅速かつ正確な行政サービスの提供に努めます。
さらに、住民のみなさまの声を直接聞くことは、町政運営にとって非常に重要であり、欠かせないものと考え、1期目から引き続き、タウンミーティングなどを行い、住民のみなさまとの直接的な対話を推進してまいります。
行財政改革を断行し、持続可能な町
1期目と同じく、町財政を預かる立場として、当然のことながら持続可能な安定した町政運営を行い、町が担う行政サービスを確実に提供していくことが、私に課せられた責務です。そして、地方自治体における財政運営の基本は、収入の範囲で予算を組むという財政規律の堅持にあるのではないかという考えにつきましては変わっておりません。
令和5年度の決算見込みについては、実質収支の黒字が見込まれますが、これは、地方交付税などの依存財源の増収が大きく影響したものであり、安定した行財政運営とは言い難い状況となっています。今後、老朽化した施設の更新等で多額の一般財源を伴うことが見込まれる中、町の財政見通しは非常に厳しいものと認識しております。
このようなことから、PDCAサイクルのもと、すべての事業を定期的に検証する事業評価制度を引き続き実施していき、役割の終えたもの、また、事業効果が小さいものなどを廃止、縮小してまいります。また、町が行う単独事業につきましても一定規模以上のものについては、事業評価を行い限られた財源を有効に活用するとともに、これらの行財政改革を進めることにより、将来世代に負の遺産を残すことがないよう、懸命に取り組んでまいります。
そのため、まずは私自身が先頭に立って改革を推し進める立場にある者として、引き続き私の在任期間中、給料の2割カット、1期4年の退職金を廃止させて頂いたところであります。今後についても、議員のみなさま、住民のみなさまのご意見をしっかりとお聞きしながら、更なる改革を進めてまいります。
結びに
施策については、太子町単独で行えるものもありますが、その多くが国や大阪府の支援が欠かせません。そのため、大阪府との連携を密にして施策を推進しながら、持続可能な地域社会と私のスローガンである「笑顔あふれる太子町に!」を実現していくために、これまで積み上げてきた取り組みとその成果を基礎として、未来にあるべき太子町の姿を見据えながら、2期目につきましても、山積する行政課題にしっかりと取り組んでまいります。
どうか、議会並びに住民のみなさまにおかれましては、今後の町政運営に改めてご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
この記事に関するお問い合わせ先
太子町政策総務部秘書政策課
電話:0721-98-5531
ファックス:0721-98-4514
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更新日:2024年06月17日