所信表明

更新日:2020年06月10日

太子町議会令和2年6月定例会において、田中町長が行った「所信表明」について、お知らせします。

はじめに

私が、ふるさと太子町に生を受けましたのが昭和35年、太子町が誕生したのは昭和31年でありますから、合併後の太子町で生を受けた最初の町長ということになります。ですから私の中では太子町は当たり前に一つのものであり、流行の言葉で申し上げますと、町全体が「ワンチーム」になり前に進んでいかなければならないという思いであります。そして、先人達が築いて来られた、この素晴らしい太子町を少しでも良いかたちで次世代に引き継ぐことが、私に課された最大の責務であります。

また、多くの自治体において共通した課題でもあります、少子高齢化の進展と人口減少時代をどう生き抜くのかを常に意識しながら施策を進めることが求められるところではありますが、人口1万3千人余りの小さな町を逆にスケールメリットとして捉え、住民一人ひとりを大切にし、声をお聴きしながら物事を進め、この太子町を住民みなさまと共に作り上げていくことが、今後の町政運営の基本姿勢となります。

そして、具体的な施策につきましては、喫緊の課題としまして、今年に入ってから、新型コロナウィルスの感染拡大が日本国内を含め全世界に広がり、多くの感染者・死亡者が確認され、まさに国難と言える状況であります。現在のところ、太子町では住民みなさまのご協力・ご尽力により感染者こそ確認はされておりませんが、学校教育をはじめ、多方面に大きな影響が出ておりますことから、住民みなさまの生命・健康・生活を守るために、まずはこの危機を乗り越えることを最優先に必要な施策を実施するとともに、リスクを完全に無くすことは難しいと考えますが、可能な防疫を行いつつ日常生活を取り戻すことも大切であると考えております。緊急事態宣言は解除となり、施設の再開、休業要請の解除などが進んでおりますが、新しい生活様式を実践しながら引き続き見えないウィルスに備えなければなりません。また、同時に第2波、第3波を想定することも重要であり、その対策も行ってまいります。

主な事業について

次に、現在、太子町で進められている主な事業についてでありますが、

まず、地域公共交通事業につきましては私の就任時、既に6月1日の運行開始に向け事業が進められており、住民みなさまにも周知されるなど、各種助成申請の受付もスタートされている中での中断となりますと、大きな混乱が生じるとの判断のもと、予定通り運行を開始させて頂きました。しかし、多額の一般財源をともなう事業でもあり、多くの住民みなさまの利用を期待しておりますが、太子町地域公共交通会議の小川会長も言っておられる通り、現在の運行計画が「完成形」ではないということでありますので、費用対効果などを見極めながら必要に応じて変えていかなければならないものと考えております。

次に、(仮称)生涯学習施設整備事業についてでありますが、今議会での予算計上につきましては、一旦、見送りとさせて頂きました。公民館については、築年数から老朽化が激しく加えて利用頻度も高いことから建て替えが必要であるとの認識であります。また、図書館についても、子ども達に図書と触れ合う機会の確保や住民の憩いの場ともなることから、同じく必要な施設であると認識しております。

しかしながら、この事業につきましては総事業費10億円を超えるものであり、先の選挙においても住民みなさまに、もう一度しっかりと検証することをお約束しております。これまでの議論を全て白紙に戻すということは、今のところ考えておりませんが、今一度、その内容を精査し、しかるべき時期に生涯学習施設建設調査特別委員会などの場所におきまして、検討内容、今後の進め方を改めて提示をさせて頂きます。また、(仮称)生涯学習施設建設にともなって観光まちづくり拠点整備が計画されておりましたが、太子町としての観光行政の在り方を含め、今一度、検証してまいりたいと考えておりますので、本事業につきましても予算執行を一旦、凍結とさせていただきます。

また、国指定史跡二子塚古墳保存整備事業につきましては、昨年度には用地購入が終了しており、国の事業決定もなされておりますことから、予定通り進めてまいりたいと考えておりますが、本事業についても多額の一般財源が必要となりますことから、単に史跡整備ということではなく、災害時の活用や公園機能をもった憩いの場ともなること、加えて観光客誘致の拠点としての役割があることなどを住民みなさまに理解を求めつつ進めてまいります。

いずれの事業も町の一般財源の負担が大きいものばかりであります。

加えて、平成31年度の決算見込みにおきまして、2億6千万円程度の財政調整基金からの繰入れが見込まれるなど、急激な収支の悪化が見込まれることから、既存事業なども含めた検証についても、しっかりと進める必要があるものと考えております。

今後4年間に取り組む主な施策・方針

住民と共に歩む住民本位の町政を推進

住民みなさまとの対話を進めるためタウンミーティングを開催し、住民みなさまの生の声をお聴きできるようにします。そして、更にその距離を縮めるため、SNSを活用した町政の情報発信・共有を推進し、コミュニケーションの充実を図るとともに、各種審議会などの会議録や資料などの情報公開を積極的に進め、常に活発な議論ができる土壌を作ってまいります。また、全ての人の人権に配慮した、誰もが住みやすい「共生社会」を実現するため、各種プランの作成・推進をはじめ、あらゆる場面でそういったことに配慮した施策を実行してまいります。人口減少につきましては、誘致策を行って転入を図ることはもちろんのこと、今もなお残っている昔ながらの地域の繋がりなど、太子町の良さを維持しつつ、まずは今、太子町に住んでいる人を大切にして、末永く太子町に住み続けて頂くよう取り組んでまいります。

活気あふれる子育てしやすい町

私は、これまで議員時代から子育て、教育について積極的に取り組んでまいりましたが、自分の行えることとして直接に小学生を対象としたスポーツクラブの指導もさせて頂いております。そういった経験から、ただ勉強だけを教えれば良いということではなく、子ども達には「生きる力」を身に着けて欲しいと思っております。そのためにも子育てを学校や家庭だけに任せるのではなく、地域全体での取り組みが重要だと考えておりますので、そういった活動にご尽力頂いております、団体などを町として支援してまいりたいと考えております。

また、「生きる力」には当然学力も必要となります。今現在、太子町立中学校の学力につきましては、大阪府内での位置は、平均より少し上位にあるとお聞きしておりますが、しっかりと上位をめざせる教育環境の整備に教育委員会とも十分に連携を図りながら取り組みたい、その素地は十分にあると思っております。そして、そのために町として、少人数学級の実現や検定試験補助などを充実させて、学力向上をサポートしてまいります。加えて、現在、進めております町立小中学校のトイレ改修などの施設整備も行ってまいります。更には子育て支援策としまして、子ども医療費の助成を高校卒業まで延長するため、9月の議会には関連議案を提出し必要な手続きを行い、関係機関との協議のうえ、可能な限り早い時期の実施をめざしてまいります。また、新型コロナウィルス感染症の緊急対策として再開後3か月を無料とさせて頂きました学校給食費につきましても段階的に無償化を目指してまいります。更に、少子化とともに園児数の減少がみられる町立幼稚園につきましては、今後の運営方針について検討してまいりたいと考えております

健康で生き生きと暮らせる安全で安心な町

今後、日本は過去に経験のない高齢化社会を迎えようとしております。高齢者が健康で生き生きと暮らして頂くことは町の活性化においても非常に重要となりますので、高齢者が活躍できる場の創出や健康増進に貢献して頂いております、団体・個人などの支援を進める必要があるものと考えております。また、町が直接健康に関われる事業として健康診査、がん検診などの充実を図るとともに、健康だけに限らず生活全般にわたってきめ細やかなサポートを実現してまいります。

そして、自然災害につきましては、太子町でも地震、暴風、大雨、土砂災害などの様々な自然災害が想定されますが、近年の日本の状況から考えますと、何時、どのような自然災害が発生してもおかしくはありません。災害は日頃からの準備が非常に大切となりますので、行政だけでなく住民みなさまにも日頃から備えていだだくよう啓発を積極的に行うとともに、地区の防災活動などにつきましても支援してまいります。

また、安全・安心ということでは、今回、新型コロナウィルスの感染拡大が私たちの生活に大きな影響を与えましたが、このことを、今後の教訓に危機管理に活かし、備蓄品などの内容、組織体制のあり方を含め見直しを進めてまいります。また、太子町消防団につきましては火災だけでなく行方不明者の捜索、災害時の救助活動などその役割は大きいものがありますが、近年は消防団員の確保が困難となってきておりますことから、団員OBの方にも活躍して頂く制度を創設し、体制を整えてまいります。

そして、住民みなさまが気持ち良く暮らせるためには、景観を維持することも重要な要素であります。特に街並みを保全しなければならない地区につきましては、所有者のご意見を伺いながら必要な措置を講じるとともに、空き家対策につきましては、その利活用が図れるような施策を構築してまいります。また、ごみなどの少ない美しい街の実現にも取り組んでまいります。

自然と歴史を活かしたにぎわいのある町

太子町にはみなさまご存知のように町名の由来であります聖徳太子御廟をはじめとする歴史・文化遺産、また、二上山をはじめとする豊かな自然が存在します。竹内街道につきましては日本遺産に認定されているところであります。

しかしながら、これら誇れる遺産がありながら私たち自身が気づいていないところもあり、今一つ外に向かってアピールしきれていない部分があると考えております。そこで自分たちで埋もれている魅力を探しだし、世界遺産などと連携しながら太子町の知名度アップに繋げてまいりたいと考えております。折しも来年2021年は聖徳太子没後1400年の節目を迎えるところであり、昨年当初より「聖徳太子没後1400年記念実行委員会」において、種々のイベントなど活性化策についてご議論いただいているところであり、町としての役割を果たしながら活性化に向けた取り組みを継続することによって観光振興にも当然繋がり、冒頭で述べました国指定史跡二子塚古墳保存整備も活きてくるものと考えております。

そして、太子町の魅力向上や観光振興に取り組んでいただいている団体、個人への支援に加え、伝統文化につきましても、太子町には誇れる「山田だんじり祭り」があり、次世代にしっかりと継承できるよう町の役割を果たしてまいります。

その他、今年は新型コロナウィルス感染症の影響で中止となりました聖燈会をはじめ、竹内街道灯路祭りなど、地域に定着してまいりましたイベントを町としてもサポートしてまいります。また、聖徳市につきましても、多くの方々がまち興しのためにご尽力頂いておりますので、多様な連携の在り方について、検討してまいりたいと考えております。

農業につきましては、現在、遊休農地が増加傾向にありますので、貸したい人、借りたい人の仲介を積極的に進めるとともに、それらを活用した学校給食の地産地消にも取り組んでまいります。

また、特産品であるぶどう、みかんについてですが、特においしいぶどうを作るには匠の技とでもいうべき技術、手間が必要であり、生産者のみなさまのご協力を得ながら、是非ともブランド化を実現してまいりたいと考えております。

次に、事業者のみなさまにつきましては、今回の新型コロナウィルス感染拡大により大変なご苦労をされている方が多くおられます。国や大阪府の支援策を必要な方に活用頂けるようしっかりと案内するとともに、長期化を見据えながら、セーフティネットとなる町独自策の実施により、しっかりと支援してまいります。また、資本ができるだけ町内で循環するような施策を実施し、事業者のみなさまをサポートしてまいります。そして、大阪府とも連携しながら「スタートアップ企業」、簡単に申し上げますと新しいビジネスモデルで急成長をめざし、市場を開拓する段階にあるベンチャー企業ということでありますが、そういった新規の企業を太子町に誘致し、必要であれば、まち全体を実証フィールドとして活用して頂きながら、新しい活気と人を呼び込めないかと考えております。

行財政改革を断行し、持続可能な町

町財政を預かる立場として、当然のことながら持続可能な安定した町政運営を行い基本的な行政サービスを確実に提供していくことが、まずは私に課せられた責務であると考えております。

地方自治体における財政運営の基本は、収入の範囲で予算を組むという財政規律の堅持にあるのではないかと考えておりますが、平成31年度の決算見込みが悪化しており、加えて、今後においても多額の一般財源をともなうことが見込まれる事業が進行中であり、本町の財政見通しは非常に厳しいものと認識しております。

このようなことから、全ての事業を定期的に検証する事業評価制度を構築し、役割の終えたもの、また、事業効果が薄いものなどを廃止、縮小してまいります。また、単独事業につきましても一定規模以上のものについては、事業評価を行い限られた財源を有効に活用してまいります。

また、役場組織についても常に時代の変化に対応していかなければなりませんが、危機管理のところで少し述べましたが、現在の組織体制が新型コロナウィルス感染拡大にみられるようなウィルス感染には系統立てて対処しにくい体制となっております。また、組織全体の士気高揚、公務能率の向上を図るため、組織体制の改革をこの秋を目途に行ってまいります。これらの行財政改革を進めることにより、将来世代に負の遺産を残すことがないよう、懸命に取り組んでまいります。

そして、まずは先頭に立って改革を推進する立場にある者として、私の在任期間中、給料の2割カット、1期4年の退職金を廃止させて頂いたところでありますが、私は完璧な人間ではありませんので、議員みなさま、住民みなさまのご意見をしっかりとお聞きしながら、職員と共に改革を進めてまいります。また、持続可能ということでは、国連のサミットで採択された持続可能な開発目標「SDGs」を取り入れた施策を町政全般にわたって展開してまいりたいと考えております。

次に、自主財源の確保ということでは、南阪奈道路や粟ヶ池バイパスの整備により利便性が向上した府道美原太子線などの道路ネットワークを活用し、総合計画をはじめ都市計画マスタープランの土地利用方針と整合をとりながら企業誘致を図ってまいります。

結びに

施策については、町単独で行えるものもありますが、その多くが国・大阪府の支援が欠かせません。太子町のような小さな町ではとりわけ大阪府との連携を密にして施策を推進することが重要であると考えております。そして、ただ施策を実行すれば良いということではなく、施策を成功に導かねばなりません。そのためには住民みなさまのご理解が必要不可欠であり、このことを肝に銘じてまいります。そして、新しい太子町に向かって新たな挑戦をスタートさせていただきます。

どうか、議会並びに住民のみなさまにおかれましては、今後の町政運営に改めてご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ先

太子町政策総務部秘書政策課
電話:0721-98-5531
ファックス:0721-98-4514
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